第133回:雲南省産の大葉種白茶(月光白など)の定義が確定

今回は、定期的に配信している当社のメールマガジン”Teamedia News”の中国茶情報を再編集してお届けします。
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雲南産白茶(月光白)の定義確定

少し前から日本でも流通が始まっていた雲南省産の白茶・月光白。
しかしながら、このお茶は、中国の国家標準『白茶』にも記載されず、長らく非常に曖昧な立場に置かれていたお茶でもありました。

雲南省でも産地によっては、月光白ではなく、月光美人、白月光のような名前で呼ばれ、名称が混同されていました。
また、白毫銀針のような芽だけで作られたものもあれば、芽と葉が混じった白牡丹のようなものもあれば、葉の多い寿眉のようなものもありました。
雲南の白茶とは何なのかの定義が不明確で、いわゆる”規範化”がなされていない状態であったわけです。

この状況は2021年11月25日より、随分整理されたものになるかもしれません。

それは雲南省茶葉流通協会が団体標準『雲南大葉種白茶』T/YNTCA 007ー2021という標準を制定し、10月25日付けで公布(施行は11月25日より)したからです。
今回は、この標準に書かれている内容をご紹介します。

 

雲南大葉種白茶の定義

この標準では、雲南大葉種を用いて製造された、白茶についての定義や要求(規格基準)が書かれています。

まず、「雲南大葉種白茶」とは、”雲南大葉種の茶樹の生葉を原料とし、萎凋、乾燥、精製、蒸圧定型乾燥あるいは不蒸圧定型乾燥、包装などの特定の技法で製造された白茶”とされています。
また、その外観によって”雲南白茶散茶”と”雲南白茶緊圧茶”に分けられるとしています。

なお、ここで言う「雲南大葉種」とは雲南省茶区に分布して栽培されている、各種の喬木型、小喬木型の大葉種茶樹の総称となっており、国家標準『普洱茶』の定義と同一となっています。

 

雲南大葉種白茶の種類

雲南大葉種白茶は原材料の違いと緊圧の有無によって、以下の4種類に分かれるとされています。

雲白毫 ・・・ 福建の白毫銀針に相当

90%以上の単芽と10%未満の一芽一葉初展を使用し萎凋、乾燥、揀剔(余分なものを取り除く作業)を経て製造された白茶製品。

月光白 ・・・ 福建の白牡丹に相当

一芽一葉、一芽二葉および少量の一芽三葉を原料とし、萎凋、乾燥、揀剔を経て製造された白茶製品。
原料の細かさで月光白一級と月光白二級に分けられ、一級は一芽一葉が90%以上、一芽二葉が10%未満のもの。
二級は一芽二葉が90%以上、一芽三葉が10%未満とされています。

雲寿 ・・・ 福建の寿眉に相当

一芽二葉、一芽三葉(これらで70%以上を占める)および同等の嫰度(茶葉の柔らかさ。30%未満の分量)の芽葉を原料とし、萎凋、乾燥、揀剔を経て製造された白茶製品。

雲南白茶緊圧茶 ・・・ 緊圧白茶に相当

雲南白茶散茶(雲白毫、月光白、雲寿)を原料とし、整理、拼配(ブレンド)、蒸圧定型、乾燥などの技法で製造された白茶製品。

 

今後予想される影響

今回の標準は雲南省茶葉流通協会が、雲南省各地の白茶の生産者を構成メンバーに取り込み、それぞれの意見を反映させた上での標準であるため、拘束力は強いとみられます。

上記のように4種類に整理されたことで、雲南省各地の独自ブランドの白茶についても、今後はこれらに収斂されていくものとみられます。
とはいえ、新たに銘柄に加わった「雲白毫」「雲寿」の知名度は、日本ではほぼゼロに等しいので、当面は月光白の名称を併記するような形で推移するのではないかと思われます。

いずれにしても、雲南省産の単芽のお茶が、白毫銀針というような福建省の名前を冠されて販売されるような事態は、これで終結してもらいたいものです。

※2021年11月15日配信の当社メールマガジン”Teamedia News”より一部編集の上、転載。

 

次回は12月16日の更新を予定しています。

 

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