先日読んだ記事が非常に素晴らしかったので、ご紹介します。

観光客を35倍にした熊野古道の完璧なコンテンツマーケティング

世界遺産にも登録されている熊野古道が、どのようにしてインバウンドの外国人が訪問する有力観光地に育っていったか、というストーリーを紹介したものです。
コンテンツマーケティングのコンサルティングを行う会社が書いている記事なので、その点は割り引いて考える必要はあるでしょうが、非常に多くの示唆に富んだ記事だと思います。

 

コンテンツマーケティングとは?

さまざまな情報(コンテンツ)を用いてマーケティングを行うというもので、特にネットの時代になってから、広く普及しているものです。
ここで言う、”コンテンツ”とは単なる商品説明用のような断片的な情報では無く、もう少し包括的な情報を提供するイメージかと思います。

たとえば、浴衣を販売するのであれば、単品の商品説明だけでは無く、浴衣の着方であったり、素材の違いなど、多岐にわたる内容をまとめて提示するようなものです。
何も分からない状態で検索をしたときに、そのようなWebサイトが見つかり、そこで数多くの記事を読むことで消費者の方が持っている疑問が解消されれば、当然、購買に繋がるでしょう。多くの記事を読んでいるうちに店舗への愛着を持ってもらうこともできるかもしれません
さらに、自分の店舗が持っているこだわりなどもきちんと丁寧に説明することが可能です。
すなわち、顧客に対して単なる価格や色、デザイン以外の着目点を提示することも出来、不毛な価格競争に陥ること無く、顧客の啓蒙にも繋がっていきます。

このようなマーケティングの方法は、特に趣味性の高いものほど効果的であり、本来はお茶などの嗜好品には親和性が高いものです。
とはいえ、コンテンツそのものを作るのは、相応の時間とコストがかかることもあり、なかなか茶業者で実現できているものを見ることは少ないように感じます。
伊藤園のお茶百科が近いところにあるようにも思いますが、立ち上げから時間が大分経っており、最近のネット上のコンテンツの流れからは少し置いて行かれているように感じます。

 

コンテンツの質が向上中

コンテンツマーケティングはさまざまな企業が力を入れている分野で、ネット上ではどんどん進化を遂げています。
特にコンテンツの品質(分かりやすさ)は、日々ブラッシュアップしており、それに合わせてコンテンツを作って行かないと、どんどん陳腐化していきます。

一例として、料理レシピサイトの変遷をご紹介したいと思います。

かつて、料理のレシピを得ようと思えば、雑誌などに掲載されているレシピを読むか、テレビの料理番組を見るか、誰かに教えてもらう(親類や知人、料理教室など)ぐらいしかありませんでした。
もっとも、雑誌やテレビなどのマスメディアに載るレシピは、紙幅や放送の尺の関係で、限られた内容にならざるを得ません。
その結果、ある程度の下準備などは既知のものであるとして、限られた文字数・分数で要点のみを簡潔に伝えるスタイルが一般的でした。

しかし、たとえば料理を始めようとする初心者にとっては、このようなスタイルは大変難解なものでした。
紙幅などの制限を取り払うことのできるネットの時代になると、あちこちでレシピサイトが見られるようになってきます。
従来は料理レシピを書くのは料理研究家や栄養士の方が多かったのですが、1998年にスタートした「クックパッド」は消費者がレシピを投稿するというスタイルをとり、人気を集めました。
クチコミなどのように消費者が書き込んで作って行く、いわゆるCGM(Consumer Generated Media)であるため、初心者の投稿などもあり「誰でも出来る」ことや「分かりやすいこと」が大いに受け入れられたようです。

さらに最近は、動画などを活用したレシピサイト「クラシル」や「デリッシュキッチン」といったサイトも出てきています。
こうしたサイトでは動画による分かりやすさと専門家の監修などをPRして人気を集めています。
また、これらのサイトを横断する形で、特に人気のレシピなどを抜き出して掲載するキュレーションサイトも無数に存在しています。

料理レシピサイトは、今や分かりやすさという点では、かなり進化しています。
一般の消費者はこのような分かりやすいWebでの情報を受け慣れているということであり、難解な専門用語や文字ばかりのWebサイトでは、反応しづらくなっています。

 

お茶コンテンツの難しさ

「それならば、お茶のコンテンツを書けば良いでは無いか」と、なるのですが実際に書き始めてみると、非常に難しいことが分かります。

まず、お茶そのものがかなり専門性の高いもので、その記事を書こうとすれば、相応のライターさんの力量が必要になってきます。
ライター自身がお茶の知識をきちんと有し、情報の取捨選択が出来ないと、とんでもない記事が上がってしまうことになります。

実際、一時期、食材のキュレーションサイトで中国茶に関する情報が大量にアップされた時期がありました。
その内容を見ると、市販の書籍を何冊か読み込み、それをつぎはぎしたような文章ばかりで、読めば読むほど分からなくなってしまうようなコンテンツでした。
残念ながら、このようなコンテンツではお茶の魅力を多くの方に伝えることはできません。
おそらく、フリーランスの募集サイトなどで、1記事500円程度の値段で素人ライターに大量に発注した記事だと思われますが、冒頭で紹介した記事にあるようにコンテンツは情熱を持った方が生み出さないと、全くマーケティングにはならないのです。
※キュレーションサイトは、コンテンツの質よりも量を追求して、ページ閲覧数を稼ぐビジネスモデルなので、このようなケースは枚挙に暇がありません。

優良なコンテンツを書けるライターの方がどんどん育ってくる環境があれば良いのですが、そのためにはある程度の記事を書く仕事を出すことが必要です。
専業の方ほど、「お茶の話なら自分で書ける」と抱え込んでしまいがちなのですが、ある程度は外注をして、ライターの方を活用することも、業界全体を見ると必要かもしれません。

次に問題なのが、コンテンツの作成コストをどう回収するかという部分です。
先程も挙げましたが、インターネットで主流である広告モデルを採用するとなると、ページ閲覧数が鍵を握ります。
しかし、一般的にお茶に関連するキーワードの検索数は、料理などと比べると遙かに少なく、広告モデルだけでコンテンツのコストを回収することは難しいと思われます。
これはデメリットである反面、メリットもあり、あまりにも収益性だけを追い求めるネット企業が参入してこないという参入障壁にもなります。

現実的には、ネット通販のような物販と組み合わせるなどの方法があれば、ある程度は可能かもしれません。
コンテンツマーケティングに専属の人材を用意するなどのコンテンツマーケティング志向の茶葉販売企業が出てきても良いのではないかと思います。

中国では微信などを使ってコンテンツマーケティングに力を入れる茶企業が多い

 

弊社の設立の目的は、まさにお茶の魅力をコンテンツを通じて伝えるというものであり、お茶のコンテンツマーケティングを体現することです。
限られたリソースしかないため、なかなか思うように進まない現状ではありますが、良質なコンテンツをどんどん生み出し、ファン層を拡大していきたいと思います。

 

次回は3月16日の更新を予定しています。