第181回:コロナ禍後のお茶イベントで感じる変化

しばらく更新をお休みしておりましたが、今後は月半ばと月初の月2回程度のペースで更新して参ります。

コロナ禍後のお茶イベントで感じる変化

2024年の初め頃は、まだまだ感染症流行の余韻が残っていましたが、2024年の後半ぐらいから、お茶のイベントが活発に行われるようになってきています。
コロナ禍前から続いていたイベントが本格的に再始動したものもあれば、百貨店などが新しい催事として立ち上げるケースもあり、週末には複数のイベントが重なることも出てきました。
私も、いくつかのイベントではトークショーや講座などを行わせていただいています。
また、昨年から弊社の方が主催という形で関わるようになった、地球にやさしい中国茶交流会については、会場をくまなく周り、参加者や出店者、講師、スタッフの方などのお話を聞いています。

複数のイベントの様子を見ていると、コロナ禍後のイベントには、ほぼ共通した特徴があります。

それは、「最近、お茶に関心を持って飲むようになった」という方の比率が、かなり高まっているという点です。

コロナ禍以前のお茶のイベントは、いつもお見かけする茶歴の長い方が中心で、ほんの少しのご新規さんというイメージでした。
しかし、最近のイベントでは、その比率が逆転とまでは行きませんが、半数は新しい方たちではないか?と思うぐらいになっています。

初心者層の積極性がイベントを盛り上げる

そして、このような方たちの積極性が、イベント全体の雰囲気を非常に前向きなものにしているように感じます。
ほとんどのイベントは、お茶の試飲などが自由にできるようになっており、またお店の方や生産者の方に直接お話を聞くことができます。

「最近、お茶を飲み始めるようになった」という方の多くは、コロナ禍の外出自粛などの影響で始めた方も多いようです。
ネットで茶葉や茶器を購入し、一人あるいは家族と楽しむという消費スタイルであったことでしょう。

そのような方が、実会場で数多くのお茶が並び、試飲もできるというのは、もう夢のような非常にエキサイティングな体験のはずです。
お茶を非常に楽しんでおられる姿が見受けられ、見ている方も楽しい気分になります。

これは肌感覚だけではなく、実際、出店者の方の物販の売り上げも好調に推移しているようです。
来場者、出店者、主催者の三方良しのような非常に良い循環が起こっているように感じます。
実際、新たにお茶のイベント・催事を企画したいと思うのだが・・・というお話を伺うことも多くなっています。

これからこそが肝心

コロナ禍を経てのこの変化ですから、「まさに禍(わざわい)を転じて、福と為すだね。よかった、よかった」と言いたくなるところです。
が、こういう新しくお茶に興味を持った人たちが増え始めたときこそ、受け入れる側は入念な対応をし、この方々を本当のお茶の愛好家に育てていかなければなりません。
そうでなければ、一過性のブームに終わってしまいます。
コロナ禍のステイホーム期間で生まれた、一時的なお茶ブームにするのか、お茶の愛好家を広げる契機となったとなるのかは、今後の対応次第だと思います。

どのような方法に進んでいけば良いのか、今後も本ブログで提言していきたいと思います。

 

次回は6月1日の更新を予定しています。

 

関連記事

  1. 第106回:明るい茶業の未来を宣伝するメディアと変化に対応する茶業者

  2. 第52回:高山産東方美人茶は定着するか?

  3. 第6回:「効能は?」にみえる難しさ

  4. 第57回:中国における”台湾烏龍茶”から考える

  5. 第43回:西湖龍井茶に見る、価格の理由と相場観

  6. 第108回:危機の中から新しいチャンスを育む

無料メルマガ登録(月1回配信)