中国も慎重な大規模な茶業イベント

中国の春茶は概ね終了し、例年であれば、今頃は全国各地の大都市で茶葉博覧会が開催されている時期です。
しかし、今年は新型コロナウイルスの流行により、どうも例年とは違うようです。

今年の5月21日は、中国がイニシアチブを取って推進したInternational Tea Day(中国語で”国際茶日”、日本語では”国際お茶の日”)であり、この日を目がけて大規模なイベントが開催される予定でした。

特に目玉になっていたのは、杭州で開催される中国国際茶葉博覧会でしたが、これは7月に延期されることになりました。

【中国茶情報局】第4回中国国際茶葉博覧会、7月24日~27日に杭州で開催へ

春と秋の年に2回開催される、厦門国際茶産業博覧会は今年の5月の開催を中止としています。
また、5月7日から四川省成都で開催予定だった四川国際茶業博覧会は、代替日程が示されないまま延期となり、代わりにWeChatのミニプログラムを利用したオンライン茶葉博覧会が開催されました。

【中国茶情報局】四川国際茶博会、オンライン開催を先行実施

日本でも最近は報道されるようになってきましたが、中国では、スマートフォンに健康コード(健康码)と呼ばれるアプリが導入されています。
自身の健康状態や検温の結果を入力し、異常が無い場合は、緑色のコードが。隔離中などの場合は黄色のコード、感染者と接触したと見られると赤色のコードが表示されるという仕組みです。
このようなアプリでもって、感染者と非感染者を峻別する仕組みを社会的に導入しています。

そのような社会的な仕組みが整ってきたので、中国では観光地や商業施設の再開などを行っています。
が、やはり多くの人々が密集状態となるイベントごと、とりわけ試飲などの飲食行為を伴う大規模な茶業イベントには、再開のゴーサインを出せずにいるようです。

 

オンラインに期待がかかるが

とはいえ、中国ではお茶の販売不振は、比較的貧しい農村地域の経済に直結します。
市中の茶葉店などは、徐々に復旧してきていますが、外出を敬遠する消費者も多く、客足は戻ってきていないようです。

本来であれば中国茶は何煎もお店で試飲をし、その品質を見極めるというのが一つの購買パターンでした。
が、これは端的に言えば、濃厚接触を伴う行為であり、そのリスクを避ける意味合いからも、試飲を取り止める店舗が相次いでいます。
そうなると、どうしても電話注文やネット注文などになるのですが、「飲んでみたら美味しかったので」というような”ついで買い”の発生がなくなり、売上としては厳しい状況が続いているようです。

小売店が頼りにならないので、ということもあるからか、最近は農家などがライブ配信を行いながら茶を売るライブコマースが急伸しています。
より権威付けを図るために、という意味合いから、地元の首長がライブ配信に参加し、茶葉の販売役を買って出るケースもあるようです。

【中国茶情報局】四川省雅安市名山区、区長自らネット販売。180万人が視聴

とはいえ、このような販売手法がとれるのは、一部の茶農家や企業に限られるわけで、なかなかこれで全ての需要を満たすことは難しいと思われます。

 

秋以降にどうなるか

中国の多くの茶産地は、夏場にはお茶の生産を行わないところが多く、この間に立て直しを図っていくことになると思います。
春茶に関しては、茶葉企業に農家からの買い上げを行うよう政府からの指示が飛んでおり、様々な資金繰り支援策が行われていたため、見た目上は順調に買い付けが終了したようです。

が、これから秋にかけて、春茶の在庫を捌ききれない状況が発生すると、各地方の茶葉会社の経営が立ちゆかなくなる恐れがあります。
そうなる前に、コロナ流行下における大規模イベントの運営ノウハウや小売店側の販売手法が確立し、茶葉の流通がスムーズに流れるようになれば良いのですが、残された時間はそう多くはありません。
この夏から秋にかけての中国の茶葉市場動向は、注視する必要がありそうです。

 

次回は6月16日の更新を予定しています。