台湾滞在中に、ドリンクスタンド(ティースタンド)を、十数店舗ほど回ってみました。
日本での捉えられ方と、少し違う点もあるなと感じましたので、台湾のドリンクスタンド事情を綴ってみたいと思います。

 

厳しい環境でしのぎを削る台湾のドリンクスタンドチェーン

台湾ではドリンクスタンドの競争が非常に激しくなっています。

ドリンクスタンドの主力商品は、タピオカミルクティーなどに代表されるような茶飲料、あるいはジュース類などです。
400mlほどのMサイズのドリンクでも、40~50元(約160~200円)程度。
コンビニのペットボトル飲料が25元(約100円)程度ですから、その1.5~2倍程度の値段です。
手軽さや甘さや氷のカスタマイズができること、出来たて感などの魅力もあり、若年層を中心に市場規模を拡大しています。

繁華街で少し人目に付きやすい物件には、だいたい大手のドリンクスタンドチェーンが出店しています。
さながら日本の大手牛丼チェーンのようです。
多くはフランチャイズによる経営で、様々な面でシステムが確立されており、かなり高い水準で標準化されています。

そして、賃料が比較的抑えられそうな、少し奥まったところには、際立った特徴を備えた新興のチェーンが出店しています。
タピオカミルクティーなら、黒や白だけでは無くカラフルなタピオカで勝負したり、黒糖などと合わせた、新しいスタイルを提案したり。
大手チェーンが拡大したドリンクスタンドの市場を、あの手この手で狙っています。

 

ドリンクスタンドは、飲食店というよりは食品製造業

大手・新興を問わず、いずれも共通するのは、数坪ほどの店舗でイートインスペースなども無く、純粋なテイクアウト専門であること。
一部の店ではデリバリーを行う店もあります。

店舗面積の割には、従業員の数は多めです。
大手チェーンほど、できるだけ効率良く作業できるような動線が考えられており、多くの若者スタッフがテキパキと大量の注文をこなしています。
「飲食店」というよりは「工場」に近いシステマチックさです。

もちろん、商品力やプロモーション力もありますが、立地の良さが業績を大きく左右します。
強い看板(ブランド)に加盟し、通行量の多い店舗立地を押さえて、注文数をとにかく確保する。
あとは、徹底的に効率化したシステムでドリンクを製造し販売するという、薄利多売のビジネスモデルです。
狭いスペースながら、多くの量が出ることでコストを下げることができ、売価も下げられる、というわけです。

 

ドリンクスタンドの原料茶は輸入がほとんど

若者に支持される茶飲料の販売拠点になっている台湾のドリンクスタンドですが、茶業界への影響はプラスばかりではありません。
多くのドリンクスタンドチェーンでは、インドやスリランカ産の紅茶やベトナム産などの輸入茶葉を使用しているからです。

なにしろ、1杯の売価が数十元という程度の価格です。
相対的に高コストな台湾茶では、とても勝負になりません。

統計を紐解くと、台湾の茶の国内生産量は1万4千トンほど。
しかし、台湾国内の茶の総需要量は4万トン程度とされています。
その差を埋めているのが輸入茶葉で、ベトナム産が筆頭で2万2千トンを占めています。
国内生産量よりもベトナム茶の輸入量の方が多いのです。

「台湾でたくさんお茶を飲んだけど、台湾産のお茶を一つも口にしなかった・・・」というのは、あながち冗談でも無くなってきています。

また、お茶が添え物のような扱いになってしまうことが多いのも、問題です。
お茶そのものの味を味わうというよりは、砂糖の甘さだったり、一緒にブレンドされるミルクや飲料の味、タピオカなどの味の方が主役になってしまいがちです。
ゆえに、お茶の消費量を当面は牽引するとはいえ、長期的にお茶の愛好者を育ててくれる業態ではなさそうです。

もっとも、ドリンクスタンドの普及によって、「茶をテイクアウトする」という感覚が生まれているのも事実です。
そこを狙って、台湾産の高品質なお茶を、少しプレミアム価格で提供しようとする店も出てきています。
が、台湾の景気の問題もあり、なかなか思うように売上を伸ばせずにいるようです。

 

日本進出が成功するためには

台湾の厳しい環境下で育った大手チェーンの中には、海外進出に積極的なチェーンもあります。
言葉の通じる大市場である、中国大陸はもちろんのこと、シンガポールや韓国、さらには日本にも進出するところも出てきています。

日本の場合、多くはスターバックスなどのカフェの価格帯を参考にした値付けがなされています。
が、台湾での成功要因と日本での市場環境(ペットボトル茶が台湾とは比べものにならないぐらい高品質で安価。コーヒーチェーンが台湾より遙かに市場に食い込んでいる)を比較してみると、思惑通りに進まないこともあるようです。
なによりも、喫茶店的なイメージで経営する日本側と製造業イメージを持っている台湾側の意識の違いも大きいのかと感じます。

台湾発のドリンクスタンドチェーンが成功するためには、ビジネスモデルも含めて、より本質的な意味でのローカライズを実現することが求められると思われます。

 

次回は7月10日の更新を予定しています。