今回も特別編で産地事情をご紹介します。

 

6月上旬は、恒例の台湾へ。
この時期を選んで行くようになってから、9年目になります。

芒種前後は東方美人茶の最盛期であり、高山烏龍茶も梨山の超高山まで茶摘みが終了。
例年であれば主要なお茶が、ほぼ出揃う時期です。

が、今年は異常な天候を目の当たりにすることになりました。

 

災害級の大雨に見舞われる

到着した日から、台湾上空には梅雨前線が停滞。
さらに南西からの気流が流れ込み、前線に向かって湿った空気を絶え間なく送り込むというメカニズムで、集中豪雨が台湾各地で発生していました。

中部の雲林縣などでは600~700mmの雨が降ったとのことで、記録的な豪雨となり、農作物への被害は2500万元を超えるとの報道もありました。
台北近郊の淡水では川が氾濫。台北市内の低い地区でも浸水の被害が出るなど、台湾の広い地域で豪雨による被害が出ました。

お茶については、多くのお茶の最盛期は過ぎていたものの、東方美人茶は茶摘みの最盛期が大雨にぶつかり、摘むに摘めない状態に。
さらに、高山烏龍茶の産地に繋がる山間部の道路が土石流で寸断され、工場への浸水や茶畑の一部崩落など、ニュースになっていない程度の災害も多数起こっていたようです。

そんな「激しさ」を目の当たりにしたわけですが、今年はどこの茶産地も気まぐれな気候に苦しんだようです。

 

全般的に産量減も品質は良好

今年は春先が「寒かった」という声が多く、「茶摘みが遅れた」「産量が減った」との話もよく聞きました。

特に梨山のような超高山地域では、4月1日頃の寒波で遅霜が発生。
一部の芽が凍害に遭ってしまい、その影響で茶摘みの遅れや、生育が不揃いとなり、生産に大分苦労したようです。
この生産者のところでは、産量が例年の約40%減となり、取引先に回す茶葉をどう確保するかに頭を悩ませていました。

また、東方美人の茶農家の話によれば、今年は冬から春にかけての雨が少なく、乾燥気味。
このことと寒さが相まって、産量は減りそうとの見通しを、もともと示していました。

が、そこへ来ての最盛期での大雨。こればかりは、どうしようもありません。
今年は寒さで生育の遅れが見込まれることから、生産のピークを後半に持ってくるようにしている、とのことでしたが、産量の確保は、かなり難しくなりそうです。

もっとも、品質的には「寒かった分、良い出来になった」と、品質自体は良かったとの声を多く聞きます。
それでも産量全体が減っていますから、「良いお茶を一定の量、確保する」ということになると、茶商の力量(目利きだけでなく、生産者との関係性、ネットワークの幅広さ等)が、問われる年だったように思います。

 

消費者サイドからすると・・・

「品質は良いが産量は少ない」となると、得てして価格が上がりがちです。
が、台湾の場合は、主に流通の事情から、生産者が価格に転嫁することが難しくなっています。
そのため、一部のお茶を除けば、価格はほぼ横ばいか上がっても僅かに上がる程度になると思われます。
※良いことのように聞こえますが、こうした流通機構が台湾の生産者の体力をじわじわと弱め、茶業を衰退方向に導いているのは間違いありません。

ただ、店舗間での品質の差は、大きく出ることになるでしょう。
ある程度の量を確保し、ブレンドなどを自社で行って品質を安定化させる大手の卸業者は、このような状況下でも調整が可能です。
が、ブレンドを行わない、いわゆるシングルオリジンのお茶を販売する店舗では、良品を確保できたかどうかで、例年との差はハッキリ出ることになると思います。

こういう年は、「どこで買うか」「誰から買うか」が、お茶の評価を決めることになりそうです。

 

次回は6月20日の更新を予定しています。