第94回:パラダイム転換の時代に

ここまで地球規模の騒動になるとは・・・

昨年末から発生した新型コロナウイルスが、世界的に猛威を振るっています。

当初は、もう少し時間をかけて世界へ広がっていくと思っていました。
事実、現在大きな被害に見舞われている欧米各国は、中国を中心とする東アジアの流行病程度の認識だったように感じます。
そのような対岸の火事であったはずが、いつの間にか母屋が大炎上している状況になっています。
現代の世界は狭いと感じざるをえません。

むしろ、依然として予断を許さない状況ではあるものの、比較的スローダウンに成功しているように見えるのは、韓国、台湾、日本などの東アジア各国。
発信地であったはずの中国などは、今やさまざまな封じ込め策と感染者を明確化する健康QRコード(健康碼)などの導入によって、社会と経済の復興過程に入っています。

 

パラダイムが変わった

今回のコロナウイルスの流行で、多くの方が精神的にストレスを感じています。

それは未知の感染症であるという病気への恐怖心もあるかもしれませんが、これまでの常識であったり規範(パラダイム)が大きく揺れ動いていることへの不安や恐れによるものも大きいと感じます。

たとえば、かつてであれば、大勢の人を集客する商業施設やイベントは、社会にとっても大変良いことであると考えられていました。
しかし、今ではこうした行動は、真っ先に慎むべき(自粛すべき)こととされています。
病気の流行により、善が悪に変わってしまったわけです。これがパラダイム転換です。

たとえば、弊社は、みなさんにお集まりいただいて、お茶の楽しさをシェアするというセミナーやワークショップ、イベントを開催しています。
が、どんなに対策を行ったとしても、外出を促すこと事態が悪となってしまえば、開催を見合わせざるをえません。
しかし、「落ち着かない日常の中で、せめていつも通りのものも提供しておきたい」という気持ちもあり、開催を期待している方の顔も浮かんだりします。そのような状況下で、開催の可否判断を下すのも、本当に苦しみながら決断せざるを得ず、かなりストレスを感じます。
いっそのこと、行政から中止の命令が下れば気は楽なのですが。

 

新しいパラダイムに適応する

愚痴はさておき、話を元に戻しましょう。
おそらく、現在多くの方が日々、何気なく行ってきた生活を、新しい価値基準に合わせて、いちいち判断し直さなければならないことに、疲れているように感じます。
ちょっとしたことでイライラしたり、普段であれば何でも無いことに腹を立ててしまったりしがちです。

「しばらく我慢すれば、あの日常が戻ってくる・・・」と思いたいところですが、どうも今回の流行は不可逆的な変化をもたらすように感じます。

SARSのようにいつの間にかウイルスが消えてくれれば良いのですが、そうならなかった場合も想定する必要があるでしょう。
ある程度コントロールは可能なものの、感染しやすい病気が世の中にあることを前提で、全ての社会をデザインし直さなければならないでしょう。
私たちも、その社会の作法に適応して暮らしていくほかありません。
そのように腹をくくってしまえば、意外と気持ちは楽になります。

 

中国で今行われているのは、未来の社会?

皮肉なことですが、新型コロナウイルスが一気に広がってしまった中国は、今やコロナウイルスの先進国になっています。
彼らが今、構築に向けて取り組んでいるのは、まさに病気と共存する世界です。

中国は、半ば強権的な封じ込めを行うことで、感染者とそうでない人を切り分けました。
感染者は集中的に治療を行い、健康な人は、しばらく外出を制限しました。
その間に、健康QRコードやさまざまな場所での検温体制などを整え、健康な人もモニタリングを継続的に行い、万が一感染すれば、すぐに隔離・治療に当たれる体制を構築しています。

もちろん、このようなことが出来るのは、中国の社会制度が監視をしやすいシステムになっていたからです。
こうしたシステムを自由主義の国が導入するのは、人権の面からも難しい部分も多いかもしれませんが、一つの参考モデルにはなりそうです。
現地の茶業界の最新の取り組みなどは、中国茶情報局などで随時配信していますので、ご覧いただければと思います。

 

 

何はともあれ、まだしばらく厳しい状況は続きそうです。
世界中の誰もがストレスに晒されている状態です。
無理を避け、お茶を飲むなどの楽しみの時間を意識的に設け、どうぞ健やかにお過ごしください。

 

次回は4月16日の更新を予定しています。

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