日本でも連日報道されている通り、中国の湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスによる感染症が大きな広がりを見せています。

1月初め、武漢で肺炎が流行っているという一報をSNSで見つけたときは、上海にいました。
そのときは、ここまで大きな事態になるとは思っていなかったのですが・・・

2002年から2003年に広東省などで発生したSARSと比較しても、患者数が多く、より広がりは大きくなっています。
当時と比較すると、特に中国の経済力が段違いに増しており、海外への渡航者が多くなっています。
そのため、海外でも多くの輸出症例が出るほか、濃厚接触者の方への感染が起こるなど、図らずも世界的なプレゼンス力が証明されるという皮肉な結果になっています。

さまざまな活動が停滞

中国当局も初動の遅れはあったものの、それ以後はSARSの経験を踏まえてか、かなり思い切った対策を打ち出しています。
交通網を止めるという方法で、人口約1100万人を有する大都市・武漢市を事実上封鎖したことにも驚かされました。
その後も、武夷山などの観光地は全て封鎖し、観光活動など人的な移動を伴う産業を一時的にストップ。
現在も春節休暇を延長するという方法で、人々の移動や活動を制限する政策を打ち出しています(ただし、医療関係者などは春節休暇を返上して対応に当たる)。

非常時とはいえ、基本的人権に関わるような移動の自由などを制限するのは、まさに超法規的な措置です。
同じような対策を取りうる立憲主義の国家は、なかなか無いと思います。

しかしながら、経済活動が停止してしまうので、春節休暇をいつまでも延長するわけにも行きません。
長引けば長引くほど、さまざまな部分で歪みが生じてくるからです。
止血のために一時的に血流を止めても、止める時間が長すぎれば、組織は壊死してしまいます。

どのタイミングで活動が再開し、その時にどのような影響が残っているのかは、これから蓋を開けてみるまで分かりません。

 

お茶はどうなるのか?

心配されるのはお茶への影響です。
生産現場では、今はまだ多くの産地で茶樹が休眠している状態ですから、大きな影響は見られません。
一方、流通を担っている大都市にある茶城・茶葉販売店などは原則休業となっており、茶の流通は一時的にストップしている状況です。

今後も、さまざまな制限措置が長く続き、現場の活動が始まる時期まで掛かるようであれば、茶の生産や流通に影響を及ぼしかねません。
特に人的移動が制限されたままであれば、ただでさえ厳しくなっている茶摘み人の確保が、例年以上に厳しくなるでしょう。
場合によっては茶摘みが間に合わず、産量の大幅減や価格の高騰などの状況に陥る可能性もあります。

流通面でも懸念点を挙げれば、たとえば外務省は1月31日に海外安全ホームページで、中国全土への不要不急の渡航を中止するレベルに引き上げを行っています。
この措置が長く続き、日本のバイヤーの方が現地に入れない、ということになれば、国内に入ってくる良質の茶葉が不足する可能性もあります。

 

現地の医療関係者や政府関係者は懸命に対策を行っています。
しかしながら、物資が圧倒的に不足しており、子供用のマスクなどは市中で十分に買うことも出来ないような状況にあるようです。
お茶はともかく、茶業関係者および中国の市民のみなさんの無事と一刻も早い事態の収束を願うのみです。

近所のドラッグストアにて。マスクを買う中国人の多くは転売目的ではなく親類・友人への支援目的

 

次回の更新は2月17日を予定しています。